ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅤⅩⅦ 

 小さな肩が小刻みに震えた。俺は抱き締め、彼女の背中を擦る。しっとりした肌に、俺の手は惑わされた。
「ねぇ、金ちゃん・・」
「ん、なんだい?」
「金ちゃんは、女性を抱いたことがあるのね?」
 若く初心な肌に俺の手が停まる。
「・・・」
 どう答えれば良いのか、俺の脳が窮する。
「な~ぜ~、黙って~いる~の?」
 千恵は、言葉を震わせた。彼女の痛む心を感じ、俺は強く抱き締める。
「あ~ぁ、金ちゃん。そんなに強く抱いたら、痛いよ」
「ごめん、つい・・」
 力を緩め、胸から引き離す。
「嫌、このまま抱いて・・」
「千恵ちゃん、無理なことを言うなよ」
 両手を肩に置き、目を合わせて千恵を諭す。
「じゃ、さっきの質問を答えてよ」
「その前に、早く服を着てからだ。眩しくて困る」
「でも、私の体をどう思った?」
 両手を広げて立ち尽くす。一瞬まごつくが、千恵の魔性の姿を眺める。
「凄く、綺麗だ。ナイス・プロポーション! 堪らない・・」
 危ない、危ない。刺激的なことを喋っちゃダメだ。
「えっ、なんて?」
「いや、いや、とにかく綺麗だよ。さあ、早く隠してくれよ」
 不満な仕草を見せたが、渋々と服を着る。その様子を、間近に見る俺の脳が、完全に沸騰点に達した。
「千恵ちゃん・・」
 彼女が振り向く。不意に千恵を抱き締め、唇を奪ってしまった。

×

非ログインユーザーとして返信する