偽りの恋 ⅤⅩⅦ
小さな肩が小刻みに震えた。俺は抱き締め、彼女の背中を擦る。しっとりした肌に、俺の手は惑わされた。
「ねぇ、金ちゃん・・」
「ん、なんだい?」
「金ちゃんは、女性を抱いたことがあるのね?」
若く初心な肌に俺の手が停まる。
「・・・」
どう答えれば良いのか、俺の脳が窮する。
「な~ぜ~、黙って~いる~の?」
千恵は、言葉を震わせた。彼女の痛む心を感じ、俺は強く抱き締める。
「あ~ぁ、金ちゃん。そんなに強く抱いたら、痛いよ」
「ごめん、つい・・」
力を緩め、胸から引き離す。
「嫌、このまま抱いて・・」
「千恵ちゃん、無理なことを言うなよ」
両手を肩に置き、目を合わせて千恵を諭す。
「じゃ、さっきの質問を答えてよ」
「その前に、早く服を着てからだ。眩しくて困る」
「でも、私の体をどう思った?」
両手を広げて立ち尽くす。一瞬まごつくが、千恵の魔性の姿を眺める。
「凄く、綺麗だ。ナイス・プロポーション! 堪らない・・」
危ない、危ない。刺激的なことを喋っちゃダメだ。
「えっ、なんて?」
「いや、いや、とにかく綺麗だよ。さあ、早く隠してくれよ」
不満な仕草を見せたが、渋々と服を着る。その様子を、間近に見る俺の脳が、完全に沸騰点に達した。
「千恵ちゃん・・」
彼女が振り向く。不意に千恵を抱き締め、唇を奪ってしまった。