2018年4月のブログ記事
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真美と同じく、明恵母さんもオヤジさんの考えを、読み取ってしまう。 「だから、明恵が近くにいるときは、余計なことを考えない」 「そうか、俺も注意しよう・・」 真美が嬉しそうに反応した。俺は背中に寒気を感じる。 「ダ~リン! 残念ね。私は、遠くでも感じるのよ」 「えっ、嘘だろう・・」 「洸輝さん、... 続きをみる
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「確か、前に話したよね。仲の良い三人が、それぞれの子供を結婚させる話さ」 「ええ、聞きました。覚えています」 しかし、三人の選んだ道は、決してまっすぐな道ではなかった。ただ独り残った明恵母さんが、諦めかけていた約束を果たすことになる。それは、俺と真美の母親が、書き残した明恵母さん宛の手紙に関連し... 続きをみる
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「はい、読んでみます。それに、欲しいものは、自分で買います」 「なに言ってんの、洸輝にはお金が無いでしょう」 真美が、意地悪そうに言う。でも、直ぐにウインクした。 「はい、はい、奥様。どうぞ、買ってください」 俺は丁寧に頭を下げて、お願いする。真美が笑顔で頷いた。 「あっ、詩もいいかもしれない... 続きをみる
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テーブルの上は、瞬時に皿の山と化した。 食後、男性三人はコーヒーを飲む。真美と明恵母さんは、デザートのフルーツ・パフェを食べている。 「ところで、オヤジさんは神学校へ通ったけど、どうして?」 俺は、気になっていた。 「ああ、運命と宗教は非常に関連している。それを学びたくてね。運命や宿命は人間... 続きをみる
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牧師のオヤジさんから問われるまま、ふたりは素直に答えた。 「それでは、指輪の交換をして下さい」 俺は一瞬固まる。 《しまった。指輪を用意していなかった。え~、どうしよう》 「トーマスオジサン、リング プリーズ!」 「オッケイ メッチェン」 後ろに控えていたトマース小父さんが、小箱を取り出した... 続きをみる
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深まる秋の風に吹かれ、五人の思いが空へ舞う。トーマス小父さんも何かを呟き、胸の前で十字を切った。瞳に涙を浮かべている。 《トーマス小父さんって、優しい人なんだな。俺は好きになった》 「洸輝、ありがとう。彼も、あなたが好きだって思っているわ」 「そうか、もっと話せるといいね。頑張って、英語を覚えな... 続きをみる
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車は市街地を出ると、幹線道路を走った。しばらくして、脇道にそれる。細い林道は、まるで紅葉のトンネルだった。 「凄いロマンチックな景色ね。あなたたちにぴったりよ」 明恵母さんがうっとりと眺め、隣に座る真美に呟いた。 トンネルをくぐり抜けると、前方の視界が広がった。そこは、広大な墓地である。片隅... 続きをみる