ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

 微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)Ⅱ 

 私は仕事しながらも、若月のことが気になる。
 昼前に、若月がやって来た。
「ちょっと、待っていろよ。直ぐ終わるから・・」
「あっ、ハイ」
 一旦、仕事を切り上げ、廊下で待つ若月に声を掛けた。
「さて、昼飯に行くか? 今日は少し肌寒いから、ちゃんぽんでも食べよう・・」
 傘を差し、近くの店へ行く。幸いに混雑しておらず、待つことなく座れた。
「それで、どんな声だった?」
「ええ、子供の声でした」
「男の子か、女の子か、どっちだ?」
「ん~、・・・」
 若月は、その場面を思い出し、考え込んだ。
「じゃ、どこから聞こえたんだ?」
「実は、車のスピーカーでした。それも、スイッチが切れている状況で、声が流れて来たんですよ」
 思い出す若月が、武者震い。
「スイッチが入っていなかった?」
「ええ、咄嗟に車線変更し、車を停めましたよ。ラジオを確認したけど、やはりオフでした」
 ちゃんぽんが運ばれて来たので、先に食べることにした。食べながら、互いに脳を働かせる。私は、一口食べては考えた。
「あ~、思い出しました。確かに、女の子の声でした」
「年頃は・・?」
 若月は、ちゃんぽんを頬張り、考える仕草。口を動かし、眉を寄せる。
「何か、分かることを喋ったのか?」
 グラスの水で胃の中に流し込む。
「お願い、助けて・・、そのように聞こえました」
 オフ状態のスピーカーから、子供の声。妙なことになったものだ。

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