ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅥⅩⅡ 

 千恵の手を握り、車に引き返す。車を戻すため、夕刻までに帰る必要があった。北陸道から長岡JCTで関越高速に入る。関越トンネルを越えた最初のパーキング・エリアで昼食にした。
「さあ、昼でも食べよう。早く降りて・・」
 あれから、ずーっと千恵は言葉を交わさない。俺は運転しながら、千恵のことを考えていた。仕方なく、助手席側のドアを開け、千恵の腕を掴んだ。
「嫌よ、降りないわ」
「あ~、やっと人間の言葉を喋った。可愛いマネキンが、隣に座っていると思っていたよ」
 俺の言葉に反応した。無表情の顔だが、目が笑っている。
「可愛いマネキンさん、一緒にご飯を食べて頂けますか?」
 無表情の顔が緩んだ。人差し指で鼻を弾く。
「本当は嫌だけど、我慢して食べてあげる」
「ワォ~、千恵様、感謝感激」
 大げさに喜ぶ。
「もう、金ちゃんなんか大嫌いよ。うふふ・・」
 ようやく千恵が微笑む。ミニ・スカートの白く細長い脚が、車から降りる。その様子が眩しく、俺の胸が締め付けられ思わずため息が出た。
「靴は乾いたの?」
 機嫌が戻った千恵が気遣う。
「うん、だいぶ乾いたね。ズボンも平気だ」
 歩きながら、千恵の服装を垣間見た。上下浅黄色の服装が、千恵の体を引き立てる。
「今、いやらしい目つきで、私の体を見たでしょう?」
「そ、そんなこと無い」
 千恵の指摘に、俺は焦る。
「嘘ばっかり言って、金ちゃん狡い・・」
「あ~ぁ、俺の目って、そんなに変かなぁ~」
「ええ、本当に変よ。頭も同じに狂ってる・・」
 レストランの入り口まで、言い争った。でも、手だけはしっかり握られている。

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