ウイルソン金井

創作小説。ロマンス、怪奇、ユーモアなど。多岐チャレンジ中。

創作小説を紹介
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物が、世界大会に参加する。笑い、涙、ロマンス、親子の絆の物語。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。心意を確かめるために、行方不明の彼を探す。そして、ハワイ島へ。
 忘れ水 幾星霜  偶然の出会いが必然なのか、憧れは恋へ。恋は愛へ。山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。ひょんな出会いからの交流。そして・・。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズの第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 雨宿りに続く大河内晋介シリーズの第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 怪奇な夢を見続ける主人公。夢に現れる和服姿の美しい女性。それは不思議な縁から始まるものであった。
 ア・ブルー・ティアズ 入院中の父子が生死の別れ際に触れ合う姿。その様子見た主人公が、自らの父に対する情念を考える。また、夜間の救急病院で起きる生と死のドラマ。

  嫌われしもの 遥かな旅 ⅢⅩⅦ 

「そ、そんな寂しいことを、言わないでください。独りぼっちでは悲しくて、何もできません」
《お前との別れが、これほど辛く悲しいと思わなかった。命が尽きるまで、お前を忘れない。あ~、息子よ》
 翌日の昼。アフリカ大陸の最南端、喜望峰が近づいて来た。
「黒ピカよ、ここでさらばだな」
 ヤツが、急に真剣な眼差しに変わった。
「う~ん。やっぱり、リーダーと飛行機で帰ります。こ、怖いけど頑張る・・」
「そうか、そうだな。一度でも経験すれば、次は簡単だ」
 テーブル・マウンテンが鮮明に現れた。港に接岸すると、荷物の隅に隠れ陸地に降りる。
「黒ピカ! しっかりワシに従え・・」
「はい、リーダー。でも、空港までの道は、知っているのですか?」
「分からん! この国は初めてだからな。だが、ミスター・ブリジョンソンから、道順を教えてもらった。だから、安心しろ。たぶん、平気だと思う」
「えっ、思う? またかぁ~、信用できないよぅ~」
 貨物トラックに乗って、市の中心へ向かう。バス・ターミナルで空港行きのバスを探すが、あまりウロウロすると危険だ。目印は旅行者のキャリー・バックが、まとめて置かれたバスである。
 幸いにも、ミスターの指示通りに動き、空港へ無事に行き着くことができた。問題は、どの便が日本へ向かうのかを、探さなければならない。ワシはヤツに、重要なことを伝授する。
「ワシらには、不思議な能力が備わっている。犬の嗅覚は鋭いが、ワシらより劣る。日本人の荷物を触角で探し当てることだ。さあ、黒ピカよ! 探してみるがよい」
 何故と問われても困るが、これは感覚だ。
《恐らく、ヤツは悩むだろう。最初は簡単ではない。ワシも苦労したからな》
「リーダー、これが日本人の荷物です」
《えっ? ぜんぜん悩まないで、即決で探した? さすがにワシの息子だ》
 意外にもスムーズに、サウス・アフリカ航空の便に乗ることができた。インド洋のモルディブ経由で成田国際空港へ向かう。
「これから飛び立つが、数分だけ我慢しろ。慣れたら、心配ない」
 初めて経験する黒ピカは、ガタガタと震えている。歩くにも往生している様子。
「うう・・、ぶるぶる・・、な、な、何が慣れれば・・」
『ゴオー、ゴオー、キィーン』
 ジェット・エンジンが大きく回転を始めた。
「ぐわぁ~、わぉ、わぉ、リ~ダ~ァ~・・」
「さ、騒ぐな! まだ飛んでいない。葉のヨットを思いだせ。最初は怖がっていたが、直ぐに慣れたではないか」
「は、は、葉のヨットは~、ほ、吠えま~シェ~ン・・」

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