ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅧⅩ 

 俺は驚き、目を見張る。
「そうなの。お祖母ちゃんから、いろんな国の話を聞かされたわ。だから、小さい頃からの夢だった」
「お祖母ちゃんが、何故?」
 千恵の説明によると、祖母も外国の生活に憧れていたという。実際に、祖父と一緒にヨーロッパや北中米へ観光旅行した。
「だから、外国に住めたらいいねって、いつも話していたの」
 俺の考えが、さらに前向きになった。
「じゃ、千恵ちゃんは外国に住むこと、問題無いんだ」
「うん、ぜんぜん問題無いよ」
「そうか・・」
 千恵は目を輝かせ、俺の言葉を待つ。俺の胸が高鳴る。
「千恵ちゃん、俺と外国で住むかい?」
「うっそ、それ本当なの?」
 両手で口を塞ぎ、驚きの声をあげた。
「ああ、本当だ」
「信じられない! それって、プロポーズなの?」
「ん~、プロポーズらしくないけど・・」
 千恵が、思いっきり抱きついてきた。
「やっぱり、金ちゃんは・・。あっ、わ~ぁ」
「お~、危な~い」
 二人して、ベンチから転げ落ちそうになる。立ち上げり、しがみつく千恵を抱きしめた。
「ねえ、金ちゃん。私、いつも金ちゃんの夢を見ていた。結婚する夢を・・」
 俺の胸に囁く。その囁きは、俺の心底を揺るがす。
「千恵ちゃん・・。ただ、約束して欲しい」
 惑乱する心を落ち着かせ、先の考えを話すことにした。
「・・・」
 彼女は体を微動だせず、黙って聞く。
「まだ、結婚は考えられない」
 その言葉に、急ぎ俺の胸から体を引き離す。そして、いじらしく見つめる。
「えっ、なんなの? 意味が分からない・・」

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