ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅦⅩⅨ 

「千恵ちゃん、俺は正直に話すから、良く考えてね」
 彼女の体が不安で固まる。
「そんなに、緊張する必要はないよ」
 肩を軽く摩る。
「うん、分かった・・」
「人を好きになること、決して悪いことじゃない。俺はたくさんの人を好きになった。残念だけど、嫌う人もいたし、嫌われもした」
 何を説明しようと、しているんだ。千恵も、首を傾げ理解に苦労している様子だ。
「あっ、ごめんな。何を話すか、忘れちゃった・・」
 一瞬、キョトンと俺の顔を見る。が、直ぐに笑い出した。
「うふふ・・、金ちゃんって、理解できない。アハハ・・」
「あはは・・、そうだね。自分でも理解できないよ。はは・・」
 俺が千恵の鼻を指で弾く。すると、目を丸くし唖然とする。
「千恵ちゃんの癖を、俺が代わりにしてあげた」
「えっ? 癖?」
「なんだ、自分の癖を知らなかったのか?」
 彼女は首を振る。そして、自分の鼻を触った。
「ふふ・・、その癖は嫌いじゃないよ。とても可愛くて好きだな」
 顔を赤く染め、項垂れる。
「その癖が、俺の心を打ち砕いたのさ」
「うっそ~、本当なの?」
「ああ、本当だ・・」
 こんどは、自分の指で弾く。
「さて、これからはマジで話すよ」
 千恵の手を握り、自分が考えていることを、伝える。
「俺の夢は、単なる旅行ではなく、外国生活だった」
「外国生活? わ~ぁ、私と同じだ」
「えっ、同じ夢?」

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