ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅥⅩⅧ 

 こんな可愛い天使のような小悪魔に呆れる。どう対処すれば良いのか、俺は考え倦む。
「なによ、固まって。本当は嬉しいくせに、素直じゃないんだから・・」
 唇を離し、恨めしく言った。
「ああ、嬉しいさ。でもね、素直になれないよ、小悪魔ちゃん!」
「えっ、なんで小悪魔なの?」
 思わぬ言葉に、千恵が驚く。その驚きの仕草が、天使に変貌し俺を魅了する
「いや、いや、麗しい天使だった」
「もう、呆れた。変よ、金ちゃんの頭。精神科の先生に、診てもらったら」
 俺は反論せず、手荷物を用意した。そして、事務所の照明を消す。
「さあ、外に出て。鍵閉めるから・・」
 千恵は無言で従う。外へ出る前に、俺の尻を思い切り叩いた。
「アッ、酷い仕打ち・・」
 俺は事務所の鍵を掛けながら、仕返しを考える。後ろで、クスクスと笑いを堪えている千恵。
「ヨシッ、照明も鍵もオッケイだな」
 彼女が前を歩き始める。俺は振り向きざまに、千恵の引き締まった尻を叩く。
「あ~、金ちゃん狡い! 卑怯者、金ちゃんのエッチ!」
 俺を睨みつける。が、直ぐに笑い出した。
「こんな・・、男性にお尻を叩かれたの初めてよ。もう許せない」
「俺だって、麗しい小悪魔ちゃんに叩かれたの、初めてだよ。でも、俺は許す」
 二人は駅まで歩く。千恵は、まだ笑っている。
「うふふ・・、やはり、ふふ・・。金ちゃんは、私の未来の夫ね。ふふ・・、運命なんだわ」
 腕を絡ませてきた。俺は振り払うことも無く、歩き続ける。新幹線の東京行きは混雑していた。仕方なく、乗降口で立ったまま大宮駅まで行く。大宮から新宿まで埼京線に乗り換えた。
「千恵ちゃん、疲れたろう?」
「ううん、独りじゃないから、平気よ。金ちゃんが傍にいるもん」
 新宿から小田急線に乗る。始発なので、二人は並び座れた。俺の肩に頭を乗せ、目を閉じる千恵。温もりが伝わる。
 

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