ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   謂れ無き存在 ⅥⅩⅤ 

「これから、国内線に乗り換えるのよ。洸輝、迷子にならないでね」
 国内線のロビーから、国内線受付けに向かう。どこを見ても、外国人の顔ばかりだ。俺は恐怖を感じ始めた。
「どうした、洸輝君。先ほどから、キョロキョロと落ち着きが無いね」
「オヤジさん、ほとんど日本人らしき人が見当たりません」
「アハハ・・、いなくても、私たちがいるじゃないか。心配ないよ」
 しかし、俺は日本人ばかりの生活に慣れていたから、どうもしっくりこない。
「洸輝。私だって、最初に日本へ行った時は、不思議な環境だったわ。日本人ばかりの世界に驚いたもの」
「そうか。真美は反対の環境だったね。でも、俺は慣れるかなぁ。心配だ」
「大丈夫よ。帰る頃には、問題無いから。さあ、受付けよ」
 デルタ航空の国内線。ミネアポリスからカトマンズへ。乗客が少なかった。小さな飛行機である。一時間ほどで到着。
「着いたわ。お母さん、静かな空港でしょう」
「ええ、そうね。外国の旅行は、このような出会いが楽しいのよ」
「そうさ、人ごみで混雑の空港はうんざりだ」
 飛行機から降りて、空港施設まで歩いた。かなり、冷え込んでいる。
「思った通りだ。真美、やっぱり寒いね」
「それほどでもないわ。これくらいが、私は好きよ」
《絶対に寒い。真美は、意地悪だ》
「あら、これが意地悪なの?」
「あっ、いいや、親切です」
 施設に入ると、荷物が届くまで待つことになった。想像以上に空港設備が頼りない印象だった。
「真美さん、これからの予定は?」
 心配顔のオヤジさんが、真美に聞く。
「ええ、これからタクシーを頼むの。ちょっと大きめのタクシーだけど」
 真美が頼んだタクシーは、奇抜な車であった。人が乗れるカーゴ兼用車。
「これは、愉快だ。楽しい旅だ」
 オヤジさんは大喜び。俺も嬉しくなった。

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