ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物が、世界大会に参加する。笑い、涙、ロマンス、親子の絆の物語。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。心意を確かめるために、行方不明の彼を探す。そして、ハワイ島へ。
 忘れ水 幾星霜  偶然の出会いが必然なのか、憧れは恋へ。恋は愛へ。山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。ひょんな出会いからの交流。そして・・。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズの第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 雨宿りに続く大河内晋介シリーズの第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 怪奇な夢を見続ける主人公。夢に現れる和服姿の美しい女性。それは不思議な縁から始まるものであった。
 ア・ブルー・ティアズ 入院中の父子が生死の別れ際に触れ合う姿。その様子見た主人公が、自らの父に対する情念を考える。また、夜間の救急病院で起きる生と死のドラマ。

   謂れ無き存在 ⅥⅩⅠ 

 成田国際空港出発ロビーに到着。俺は、ただ三人の後を従うだけだ。頭の中は真っ白で、何も考えが及ばない。ANA航空のカウンターでチケットの手続き。旅行ケースを預けると、出発時間まで空港内を散策。
 オヤジさんが早めの昼食を提案し、階上のレストランへ行く。滑走路が見える窓際に座った。
《旅行の間は、レストランの食事ばかりだろうな。帰るまで、日本食はお預けだ》
 俺は天ぷら定食を頼んだ。他の三人は、サンドイッチを注文する。
「えっ、俺だけ定食かい? なんだか仲間外れの気持ち・・」
「そんなこと、気にしないで。私はこれで十分よ」
「私も、そうよ。飛行機に乗るときは、いつもこんな感じなの。ねえ、あなた・・」
「私の場合は、お腹にガスが溜まるのが嫌なのさ。出たら、隣が困るだろう?」
 オヤジさんがおどけて言う。
「当たり前じゃないの。もう、はしたないこと言わないで・・」
 明恵母さんがたしなめる。
「洸輝、大丈夫よ。私が持っているから・・」
「何を持っているのさ?」
 真美が、困った顔。すると、それを察したオヤジさんが答えた。
「飛行機の長旅は、食べても運動しないから、ガスが溜まるのさ。お腹が張って痛むか、出す物を出してスッキリさせるかだ。飛行機の中は狭いから、所構わずとはいかんだろう。あっはは・・。だから、ガス止めの薬が必需品だよ。特に女性はね」
 理解した俺も笑い出した。真美と明恵母さんが、呆れた様子だ。
「洸輝、お父さんも止めてよ。ここはレストランなの、分かった!」
 真美が険しく注意したので、俺はしょげ込む。オヤジさんは、まだ笑っている。
「あなたも、いい加減にしてちょうだい」
 明恵母さんが、我慢できずに叱責した。
「分かった、分かったよ。申し訳ない」
 この様子に真美と俺は、クスクスと笑い出してしまった。食後の飲み物を済ませると出発ロビーへ戻る。
 しばらくして、俺たちの出発時刻になった。パスポートとチケットを確認する。
「問題無いね。さあ、入ろうか・・」
 明恵可さんとオヤジさんが、腕を組み前を行く。俺と真美はしっかりと手を繋ぎ、列に並んだ。

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