ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

忘れ水 幾星霜  第四章 Ⅵ

「北島さん、良く調べましたね」
「この一年間、ブラジル国内を飛び回っていますから、色々な料理を食べましたよ。ピラニアのフライやワニ料理も食べました」
「えっ、それは凄いですね」
 横で聞いている千香が退屈そうな様子。それを見とめた亜紀が、声を掛ける。
「千香、フルーツなら食べられる?」
「ん・・、そうね。食べてみようかな」
「じゃあ、待ってね。直ぐ持って来るから」
 亜紀はバイキング形式のデザート・テーブルへ行き、千香が食べられそうな何種類かのフルーツを小皿に盛る。
「はい、パパイヤとマンゴーは熟れて甘いわよ。スイカやメロンも美味しいと思う」
「わぁ~、色鮮やかね~ぇ。何から食べればいいのか、迷ってしまう。あれ、亜紀はケーキなの? 狡いな、美味しそうなケーキね」
「はい、一口ならあげる」
 千香は、大きな口を開けて食べる。
「まあ、甘い。ブラジルのケーキは甘過ぎるわ」
「ブラジルはサトウキビから採れる砂糖が豊富なの。だから、とっても甘いのよ」
「私は、パパイヤにするわ」
 輝明は、北島と話しながらふたりの会話を気にしていた。
《千香ちゃんの食事を心配したが、亜紀さんがフルーツを勧めてくれて良かった》
 およそ二時間後、散会を惜しむが明朝のサントス行きが朝早いので、お開きにしてホテルへ戻った。
 亜紀はマルコスと一緒に家に帰った。マルコスのお喋りは、家に帰っても続く。
「マルコス、いい加減にお喋りは止めて、今晩は早く寝るのよ。分かった?」
「うん、だけど慣れない家では眠れそうにないよ」
「ダメ! 寝るの!」
「一つだけ、教えて。いつ日本に帰るの?」
 彼のお喋りは、不安から話し続けていると感じた亜紀。
「マルコス、心配しなくてもいいのよ。私は日本へ行かない。このままよ」
「本当に! ブラジルに残るの、このまま?」
「ええ、安心しなさい。だから、シャワーを浴びて早く寝なさいね」
 理解し安心した彼は、シャワーを浴びるとベッド代わりの居間のソファで寝た。
 翌日七時に、ホテルに着いた亜紀とマルコス。輝明と千香がレストランで朝食を食べているところであった。亜紀とマルコスも誘われ、簡単なパンとカフェを一緒にする。

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