ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅳ 

 料理に堪能し、互いに意見を交換する。しばらくして別れた。
《今からでも、遅くは無いだろう。よし、道祖神へ寄ってみるか》
 駅前に出ると、家とは反対方向へ向かう。半時ほど歩くと、例の道祖神を見つける。
《これかな?》
 後ろ側を覗くが、痕跡は見当たらない。
《おかしいな・・。この道祖神で間違いないと思うが・・》
 人通りが少なく、気持ちが落ち着けない。考え倦んだ末に、帰宅することにした。
「晋介さん・・。ちょっと、お待ちになって!」
 帰りかけた私に、御堂から呼び止められた。
「あ~、御堂さん。会えて良かったぁ」
「そろそろ、お越しになると思っていましたわ」
 端正な身なりの御堂に心が高鳴る。
「その節は、お世話になりました」
「いいえ、お役に立て嬉しく思います」
「ところで、調べて・・」
 私が言いかけると、止められた。
「分かっております。北軽井沢の件でしょう」
「えっ、どうして、ご存じなのですか?」
 驚くことに、私の尋ねる内容を知っていたのだ。
「だって、私の連絡網は道祖神よ」
 御堂の説明では、道祖神の石碑が島根を除く全国に所在する。特に、長野県の安曇野や群馬県の倉渕は、数の多さで有名であった。
「だから、北軽井沢の噂は聞いております。それに、福沢准教授の指示で、懸命に情報収集されていることも・・」
「そうですか。説明する必要も無い訳ですね。残念なことだ・・」
「いいえ、状況によっては、情報を交換する必要があります」
 意気消沈する私に、彼女の言葉が私の心を高揚させた。
「では、一緒に活動ができるのですね? 良かったぁ~。ん? むしろ、私より福沢先生の方が大喜びでしょうね」

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