ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅱ 

「それで、どんな内容なんだね」
 畠山が首を傾げ、説明に窮している。
「教授、私が聞いた噂では、夜になると湖面が光るらしいの。それも、ただ光るのではなく、湖底が割れてマグマが噴き出す明るさ」
「それなら、ガスが噴き出すだろう?」
 明菜の説明に、福沢が疑問を投げかける。
「ええ、そうなのよねぇ・・」
「僕が聞いた話は、朝になると奇妙な足跡が残っていた。それも、何か所にですよ・・」
 福沢が目を閉じ、瞑想する。
「それも、あの邪鬼と同じ足跡の様です」
 そのとき、渡瀬が入って来た。
「先輩、五階の方が暑かった。日差しがガンガンと部屋を照らして・・。アッ!」
 落ち着きのない声で、喋り捲る。たが、空気を読み取り、口を塞ぐ。
「分かればいいんだ。この部屋の方が、我慢できるだろう?」
「はい・・」
 福沢が、徐に目を開く。
「よし、調査開始だ」
「大河内さんに、連絡しなくても宜しいのでしょうか?」
「うん、そうだな・・。後で、私から連絡するよ」
 その後、助手全員を集め、早々に資料の収集を指示する。
「教授、私たちの研究室は、歴史学から魑魅魍魎学に変更ですね」
 畠山が面白そうに話す。
「えっ、魑魅魍魎って、なんですか?」
「渡瀬、魑魅は山中の怪物のこと。魍魎は水中の化け物だ」
「それを勉強するのですか?」
「あっはは・・、そうだよ。とても興味がある学問だ」
 他のメンバーも大笑い。明菜が笑いを堪え、渡瀬の背中を叩く。
「なによ、その顔・・。あはは・・」
「そうよ。ゲ、ゲ、の鬼太郎の世界よ。フフ・・」
 驚く渡瀬に、同期の美知恵が付け加えた。

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