ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅰ 

 今年の夏は、台風、地震、大洪水、火山の噴火など、自然の変事が猛威を振るう。特に、厳しい酷暑が、日本国内の記録を更新している。
 東都大学の研究室内も、エアコンがフル回転。
「教授、この暑さに耐えきれないですよ」
 邪鬼対策に窓も無く、密閉状態の室内だ。二年の渡瀬が、不満を言う。
「慣れるしかないだろう。上の五階へ行ってみれば・・」
 リーダーの畠山が眉をしかめ、不満の渡瀬をたしなめる。
「えっ、五階ですか?」
「ああ、そうだっ!」
 煩わしく思い、はねつけるように答えた。先輩の言葉に気まずく、部屋から姿を消す。
「畠山君、何を苛立っているんだ」
 准教授の福山が尋ねる。
「いいえ、苛立っている訳ではありません。彼が言うように、確かにこの部屋は暑い。でも、私の頭を煩わせているのは、他のことです」
 畠山は話すべきか、迷っていた。
「ん、どうした? 私に、話せない内容なのか・・」
 畠山の知り合いから、予期しない話が舞い込んだ。妙な内容に、彼も信じがたく思っている。
「ええ、実は・・。あの・・」
 福山は席を立ち、畠山の近くに寄る。エアコンの風が最も効果のあるソファに、二人は座った。
「先日、地質学部の知り合いから、不思議な話を聞かされました」
「あら、その噂なら私も聞いたわ」
 畠山の話を耳にした明菜が、ソファにやって来る。
「北軽井沢の小さな湖でしょう?」
 横に座った明菜の顔を、咄嗟に見る畠山。
「うん、そうだけど・・」

×

非ログインユーザーとして返信する

あと 2000文字

※は必須項目です。