ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

 微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅨ 

 瞬く間もなく光が消え、静かな洞窟観音に戻った。私たちは、全ての観音像を拝顔し、表に出る。受付けで、ご朱印札を多めに購入し、駐車場の車へ引き上げた。
「皆さん、お疲れ様でした。事が楽に済み、無事で良かった。今日のことは、他言無用です。お願いしますね」
 自販機で買った飲み物を配り、飲みながら私が挨拶した。助手たちは安堵の面持ちで、私の話を聞く。次に、福沢准教授が今回のあらましを説明する。
「それでは、東京へ帰りますが、車中で感想を述べてください」
「は~い・・」
 若月が邪鬼に狙われた理由も話した。
「だから、邪鬼はこの世の者ではない。いつ現れ、どこで君たちに害を及ぼすか分からない」
「ええ、そうです。今回は軽く済んだと思ってください」
 私も助言する。


 その後、私と若月は本来の生活に戻る。若月の車は、廃車登録し処分した。


 二週間後の雨の夜。帰宅後シャワーを浴び、疲れたので直ぐベッドに横たわる。
「もしもし、大河内さん・・」
 まどろむ私の耳へ、静かな雨の音と共に御堂の声がささめいた。
「権助は、地獄の釜茹での刑に処され、地獄の最下位へ追いやられました。もう二度と惑わすことは無いでしょう」

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