ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

 微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅩⅥ 

「大河内さん、あなたは典侍に会われたでしょう? あの方がとても心配して、私をこの世に送り出したの」
「はい、昨晩話すことができました。でも、御堂さんのことは、何も触れませんでした」
「ええ、分かっています。あなたの家の近くに、邪鬼の群れが集まり、情報を手に入れようと必死だったの。だから、敢えて私の名前を伝えなかった・・」
「それでは、あなたは私たちの味方ですね?」
 彼女は頷いた。私たち三人も、納得して頷く。
「味方と言っても、どれほどお役に立つか分かりません。今回は、非常に危険です」
 御堂の、非常に危険と言う言葉は、彼女の表情に強く現れた。私たち三人が、怖さに息を飲むほどである。
「やはり、僕が一番危険と言うことですね」
 若月が恐る恐る尋ねると、彼女は穏やかな表情で彼を見つめた。
「安心しなさい。必ず、恩人のあなたを守るわ。これは内室からの命令なの」
 そして、福沢に目を移すと、愛しい眼差しで言葉を掛ける。
「あなたね、紗理奈の婚約者は・・」
 福沢の顔が、一瞬強張る。
「えっ? な、何故?」
 御堂が、にこやかに首を傾げる仕草。
「彼女は、私の子孫なの」
 私と福沢が驚く。
「それで、紗理奈さんは・・」
 縋る思いで尋ねる福沢。
「あの子、反省していたわ。あなたと、幸せに暮らしたかったそうよ。でも、仕方がないわね。三途の川を渡らなければ、邪鬼に引き裂かれていたもの。大河内さんのお陰で救われ、黄泉の世界へ行けた」
 確かに、邪鬼に引き裂かれ食い殺されたら、怨霊となって邪鬼の仲間で暮らすしかない。私は、紗理奈が懸命に三途の川を渡るところを、最後の瞬間に見ていた。無事に渡れたと聞き及び、ホッとする。
 急に外の雲行きが怪しくなった。御堂が眉をひそめる。悪寒が私の背筋を走った。
「いよいよ始まるわ。注意を怠らないで・・」

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