ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

 微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)Ⅷ

 彼の姿に、助ける手段を講じるべきだと思案する。
「君は、香木の匂い袋を持っているのか?」
「いいえ、もう関係ないと思い、持っていません」
 私が思わずため息を吐いたので、若月は察したらしい。
「持っていた方が、良かったのですか?」
「ああ、取り敢えず用心のために、常に持ち歩くべきだ」
 彼はブツブツと呟く。
「どうした、一つも持っていないのか?」
「ええ、会社の女の子に見せたら、みんなが欲しがり、配ってしまった」
 若月は落ち着きを失い、哀れな様子。
「仕方がない。余分に持っているから、オレのを分けてやるよ」
 瞬時に、元の若月に戻る。
「ほ、本当ですか? あ~、助かった」
「おいおい、喜ぶのは早い。それだけでは不十分だ」
「えっ、不十分?」
 彼は、邪鬼の恐ろしさを忘れてしまったようだ。
「もう、忘れたのか? 奴らは、どんな手段でも使う。前回だって、この袋だけでは済まなかっただろう」
「はい、確かにそうでした」
 邪鬼は、亡霊ではない。怨念の塊だ。三途の川を渡りきれない、悪霊が邪鬼となっている。恐らく、あの権助は仲間に体を引き裂かれたが、悪霊は残っているはずだ。むしろ、より力を蓄えているかもしれない。
「東都大の福沢准教授に、相談してみるよ」
 その場で、福沢准教授の携帯に電話し、解決策を尋ねる。
「ご無沙汰です。休日に、申し訳ありません」
 大方の話を説明すると、彼が俄然興味を示す。これから、直ぐ私の家に来ると言う、三人で話し合うことになった。

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