ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

 微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)Ⅵ

 日曜日の朝、早くに目覚め、落ち着かない。今度は、どんな問題が待ち受けているのか、それに誰と出会うのか楽しみだった。
 ただ、以前の出会いは、美しい女性だった。ところが、あのラジオから聞こえたのは、子供の声である。そのことが、特に私の興味をそそった。
 若月を待つ間、心をときめかせ頭をフル回転させる。
《待てよ、今回はオレではなく、若月が主だな。車の購入経緯からしても、彼に係わることだ。用心させよう》
 来るのが遅く、私は待ちわびていた。
「わ~、遅くなって申し訳ないです。主任、おはようございます」
 慌ただしく、やって来た。私は挨拶を無視する。
「おい、もう昼時だぞ。遅すぎる」
 若月は玄関先で、かしこまり動けない。
「まあ、いいや。早く上がれよ」
「アッ、ハイッ・・」
 恐る恐る靴を脱ぎ、部屋に上がる。私が用意した紅茶を飲み、漸く落ち着いたようだ。
「それで・・、実は・・」
 若月が、迷いながら話す素振り。
「なんだよ、早く喋れよ」
「実は、昨晩遅く・・、妙な気配がしたので・・、車を覗いたんです」
 彼の話では、車の後部座席に女の子が座っていた。ボロボロの衣服で濡れ鼠状態。顔色から血の気が失せ、ガタガタと震えている。紫色の唇からか細い声で、彼の名前を呼んだという。
「私は怖くなって、その場から逃げ出した」
 未だに、彼の瞳は揺れ動いている。
《やはり、若月だったか。これは慎重に考えねば・・》
 

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