ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

 微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)Ⅳ

「おい、待てよ。その高架橋へ行ってみよう」
「えっ、反対方向ですよ」
「構わん、そこへ案内してくれ」
 若月は、渋々従う。一旦、首都高速を降りる。迂回してから再び首都高速を走った。
「そういえば、引っ越したんだっけ・・」
「でも、近い内に、主任の家の方へ越そうと考えています」
「どうして?」
「いや、なんとなく。近ければ、あの世界が・・」
 その瞬間、オフのラジオから雑音が流れる。私は耳を疑う。
「これは・・」
 残念なことに、直ぐに雑音が消えた。
「主任、高架橋とは関係なさそうですね」
「ああ、関係ないようだ」
 私はあれこれと、考えた。
「よし、オレの家に戻ろう!」
「えっ、ウソでしょう・・」
 ブツブツ言いながら、首都高速を降り迂回する。途中、コンビニにより飲み物を購入した。そのまま駐車場で、喉を潤し頭を巡らせる。
「うん、そうだ! 若月、車に乗った時、向こうの世界を考えたか?」
「はい、確かに考えました。チラッと千代さんのことを・・」
 ガガッ、ザザァ~と、雑音が前後左右のスピーカーに流れる。若月は慌て、缶コーヒーを落としそうになった。
「あ~、驚いたなぁ~」
「やっぱりな。この車が、仲介しているんだよ。あの世界と・・」
 あの時、彼は自ら千代に触れられ、力を得たのだ。私は関知していたが、敢えて彼に喋らなかった。
 不意に、雑音が女の子の声に変わる。私の背筋に悪寒が走り、隣の若月も愕然とした。

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