ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅦⅩⅦ 

 佐藤が意味ありげに微笑んだ。
「何が面白い? 俺にとって、深刻なことだよ」
「あ、ごめん。面白いとは、思っていないわ。ただ、・・」
「ただ、って・・、なんだよ?」
 不愉快になり、つっけんどんな言い方をした。
「ただ、千恵ちゃんを軽々しく考えていないと、分かったから。安心して、つい微笑んでしまったの。それが、何故いけないのよ? 可笑しな、金ちゃん」
 何故不愉快なのか、俺にも分からない。
「まあ、いいや・・。少し冷静に考えるよ」
 果たして、冷静に考えられるのか、自分でも判断できない。でも、考える必要がある。俺の脳が千恵の顔と姿に充満され、放って置く訳にはいかないからだ。
「じゃ、後は二人で話し合って、お願いね?」
「ああ、分かった。だけど、休まずに仕事するよう、伝えて・・」
「うん、伝えるわ」
 佐藤と別れ、そそくさと寮に戻った。珍しく談話室に海田を見つける。俺は悩みを打ち明けた。
「そうか、俺はそうなると感じていた・・」
「え、本当ですか?」
「ああ、本当だ。あの子のタイプは、俺の彼女にそっくりだ」
 不思議にも俺の気持ちが、幾らか和らいだ。
「そんなに似ているんですか?」
「間違いないよ。でも、あの子は美人になる素地を持っているね」
 冗談なのか、本気なのか、笑いながら俺の肩を叩いた。俺は一瞬恥じらうも、心で喜んでいる。自分に呆れ、バカなヤツと思った。
「いいえ、お転婆で目茶目茶な女の子ですよ。嫁さんにしたら、大変なことになる」
 一緒に笑った。
「でもさ、金ちゃん。あの子のしがらみは、どうなんだい?」
 海田が心配そうに、尋ねる。
「確か、弥彦の祖母だけと思います」
「その点を確かめるべきだね。二の舞をしないように・・」
 二の舞? 意味が掴めなかったが、直ぐにあの人のことだと理解した。


 

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