ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅥⅩⅥ 

 気まずい思いで帰りの支度をする。千恵は無言のまま、事務所の椅子に座っていた。
時間を確認すると、夕刻の六時を過ぎていた。
「準備は、できたかな?」
「・・・」
 相変わらず、俯いて反応しない。俺は千恵の前にしゃがみ、下から覗いた。
「いい加減に、許してくれよ。もう、あんなことは絶対にやらないから」
 俺は手を合わせ、拝む仕草をする。すると、上目で俺を見た。
「金ちゃんの大バカさん!」
 か細い声で叱り、平手で俺の頭を数回叩いた。
「アッ!」
 その拍子に、俺は尻餅をつく。
「うふふ・・、金ちゃんが悪いのよ。ふふ・・」
 俺の間抜けな格好に、千恵が笑った。
「あはは・・、千恵ちゃんが笑った。はは・・、良かった」
 やはり、千恵の笑顔は麗しい。
「おっ! まずい!」
 彼女の短いスカートが、乱れ捲れていた。俺は直ぐに横を向いて、立ち上がる。
「あっ、また覗いたなあ~。金ちゃんって、本当に嫌らしい人ね」
 俺を指差し、ねめつける。
「そ、そんな。俺は覗いていない。神様に誓うよ」
「何を神様に誓うの? 女性の下着を覗いて、神様が呆れるわ」
「はい、はい、私が悪うございました。千恵様神様、お許しください」
 俺は低頭し、謝った。
「うん、許す。その代わりに・・」
 咄嗟に嫌な予感が背筋をなぞる。
「その代わりにって?」
 頭を持ち上げ、千恵の顔を見た。茶褐色の瞳が魅力的に輝き、俺を誘い込む。
「結婚する約束を・・、して欲しいの?」
 チャームな瞳に誘われた俺は、迷路に彷徨い途方に暮れる。

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