ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅣⅩⅨ 

 我を忘れ、駅に来てしまった。改札口で待つ間、自分の愚かさに悔んだ。予定の新幹線は、既に到着しているのに千恵の姿が見えない。俺は心配した。
「金ちゃん、私はここよ・・」
 後ろを振り向くと、明るい笑顔で千恵が立っていた。ただ、周りを気遣う眼差しは、不安に怯えている。
「やあ、元気だった」
 若い千恵らしい服装に、俺は驚き目を見張る。爽やかな水色のミニ・スカートにタンク・トップ姿。白いサンダルにピンク色のマニキュア。
「どうしたの? 若い女の子の姿に言葉が出ないの?」
「いや~、想像していなかったよ。とても似合うし、可愛いよ」
「でしょう?」
 とりあえず、駅ビル内の喫茶店に入る。
「何が飲みたい?」
「そうね、この店は少し寒いから、ホットの紅茶でいいわ」
 確かに冷房が強い。俺も同じものを注文した。
「う~、凄く大人ぽっく見える。驚いたよ」
「ふふ・・、嬉しい。金ちゃんが、どう思うか心配しちゃった」
 人差し指で鼻の先を、チョンチョンと弾く。
「そんな、心配すること無いよ。今でもドキドキさ・・」
「本当に? じゃぁ、私に惚れた?」
 テーブル越しに俺を見つめる。その眼差しは、幼い顔に艶やかな表情が混在していた。
「うん、嫌いじゃない」
「あ~、狡い言い方ね。もっとストレートに言えないの?」
 テーブルの下で、俺の脚をサンダルで突く。
「アハハ・・、千恵ちゃんには参ったね。悔しいけど、惚れたよ」
 一瞬、天井を見上げた後、視線を俺に戻した。
「やっと、言わせたわ。安心した・・」
「えっ、どうして、安心したんだ? 意味が分からない」
「金ちゃんは、知らなくていいのよ」
 二人はゆっくり紅茶を飲んだ。

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