ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅣⅩⅠ 

 その後、海田に誘われ昼食を一緒にする。食事の間、千恵のことが気にり、海田の話に集中できない。
「なんだか、食が余り進まないようだね」
「いや~、そうでもないです」
 そう言いながらも、オムライスをスプーンで穿るだけ。時たま、口に運ぶ。
「もうすぐ、帰る時間だよ」
「ええ、・・・」
 半分も食べ終わっていない。俺は食べるのを諦めた。
「金ちゃん、どないしたんや? 食べなアカン。 後で腹へるやろ・・」
 坂本が心配な顔で、テーブルにやって来た。
「あ~、坂本さん。ほんまに、ありがとうさん」
「あの、めちゃおもろい子やろ。惚れたんかい、どないやねん?」
 痛いことを突かれ、俺はカチンとくる。
「そんなこと、あれへん! 俺のこと、かまんといてなぁ!」
「お~、怖。ほな、知らんわ・・」
 坂本は、呆れた顔で他のテーブルに移った。
「あ~ぁ、面白くない」
 俺はコップの冷や水を、一気に飲み干す。
「金ちゃんも、まだ若いなぁ~。ハハ・・・」
 傍で聞いていた海田が、愉快そうに笑う。
「アハハ・・・、そうですよね。簡単にあしらえばいいのに、本気に考えるなんてバカバカしいや。フフ・・・」
 笑ったお陰で、気が楽になった。
「坂本さ~ん! 申し訳ない」
 大声で坂本に謝った。彼が振り向き、手を振る。
「怒っておれへ~んよ」
 急に目の前のオムライスを食べ始めた。海田が呆気にとられた。
「なんだ、突然に食べ始めて・・」
「ええ、残すと勿体ないと、急に思ってしまった」
 そこへ、竹沢たちが戻って来た。
「あれ、金ちゃん、今ごろ食事かい? 帰る時間だよ」
「ほんとだ、まだ食べているわ。何杯目のお代わり? 太った中年のおじさんになっちゃうよ」
 千恵の挑戦的言葉に、俺はじろっと睨む。
「わ~、金ちゃんが睨んだ。怖い、助けて~ぇ」
  

×

非ログインユーザーとして返信する

あと 2000文字

※は必須項目です。