ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅢⅩⅧ 

 佐藤の顔が、思い浮かぶ。嫉妬に狂った目付きで、俺を睨む。
「間もなく、ヨット・ハーバーを過ぎたら、海岸に着くよ」
 急きょ予定を変更したので、事前調査ができなかった。海岸は岩だらけだ。
「なんや、めちゃアカン。泳げへん、どないするねん?」
 坂本が、声を尖らし不満を言う。
「坂本君の魂胆が見え見えだ。女の子の水着姿が目的だからな」
 大山が指摘した。
「え~、うっそ~!」
「まあ、嫌らしいわ~」
 女の子たちが、一斉に黄色い声を上げた。
「ちゃう、ちゃう、泳ぎを教えられんと、思っただけや」
 必死に弁解する。
「はい、はい、じゃあ、呼ぶまで自由解散だ」
 俺は小高い岩の上へ行く。そこへ、海田が横に座った。
「金ちゃんは、いつも、何を考えているんだい?」
「え、どうしてですか?」
 遥か先の水平線に目を置いたまま、ポツリと呟いた。
「うん、みんなと、ちょっと違う感じだから・・」
「ふ~ん、そう見えますか・・。でも、海田さんだって、同じですよ」
 そう、彼は常に一線を置いている。誰も親しく近寄れないが、妙に身近な存在として感じられた。不思議な人柄だと俺は思っている。
「金ちゃんの場合、外国生活に何を望んでいるのか理解できない」
「俺は、夢を現実にする。それに囚われているだけかも・・」
「いや、それはみんなと同じだ。むしろ、その気持ちが大事だよ。だから、俺は彼らが好きなんだ」
 海岸で屈託なく騒いでいる彼らを見た。
「そうですよね。夢を追い求めず、不満だらけの人生を過ごす人が多いです」
「それで、何故囚われているんだ?」
 何故って、問われても簡単に解けない。何故だろうか。
「う~ん、一度は諦め、好きな人を選んだけど、ある人の死がきっかけかな」
 海田が俺を見た。
「その好きな人は?」
「未練はあるけど、別れました」

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