ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅢⅩⅥ 

 仕方なく、俺は助手席に座った。運転する海田が笑う。
「相手のいない俺が愉快ですか?」
「あはは・・、まあ、そうだな。俺なんか、最初から予定していないよ」
「海田さんは、許婚がいるらしいじゃないですか・・」
 俺は、運転する海田と話す。
「ああ、そうだよ。でも、結婚するか分からん」
「え~、どうしてですか?」
「海外で生活することを、反対しているんだ。とにかく、難しい状況さ」
 やはり、俺だけでなかった。人それぞれに、問題を抱えているんだ。あの人の面影が、俺の脳裏を過る。
「どうした? 金ちゃんも問題が有るんか?」
「いや、もう済みました。ちょっと辛いけど・・」
 小田原を抜け、真鶴に向かう。天候が良かった。俺は振り返り、後ろの席を眺めた。恨めしそうに、俺を見つめる千恵の視線。
「金ちゃん! ほら、助手は前を見て・・」
 竹沢が、揶揄を飛ばす。
「ほんまに、可哀そうやなぁ~」
 坂本の言葉に、バス中が大笑い。
「かめへん、ほっといてんか~」
 下手な関西弁に、またもや大笑いする。千恵も可愛らしく笑っていた。
「孤独な金ちゃんに、乾杯~」
 道中の雰囲気を心配していた大山が、大きな声で音頭を取った。すると、全員が声を上げる。
「はい、はい、ありがとうございます」
 俺は自棄になり、礼を言った。
「金ちゃん、いいじゃないか。バスの雰囲気が良くなったから・・」
 海田が俺を慰めた。確かに、バスの中が騒がしくなっている。
「ええ、そうですね。楽しい旅になれば・・」
 しばらくして、トイレタイムの休憩をする。バスから降りて、タバコを吸っていると声を掛けられた。
「はい、金ちゃん・・」
 千恵ともう一人の子が、俺にチョコレート渡した。
 

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