ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅢⅩⅡ 

 計画は誰かの意見で決めた訳でなく、食堂でなんとなく喋った話が現実化した。大山と木村が実行委員らしい。
「大山さん、三浦半島の件だけど、俺は知らないよ」
「あれ、部屋の机の上に、メモを置いたけどなぁ」
 探したけど、結局見つからなかった。でも、食堂の掲示板で確認する。
 その後、佐藤さんとは夕食後の時間に、外で待ち合わせる。特に切々な思いで、デートをすることでもない。他愛のない話題を話すだけだ。
 ある晩、近くの畦道を歩いているとき、佐藤さんにキスを求められた。
「金ちゃん、キスして・・」
 俺は応じた。暗闇の中、決して短くない時間だった。
「・・・」
 人の気配を感じ、二人は離れる。佐藤さんの寮まで見送り、俺は虚しい気持ちで自分の寮に戻った。
「金ちゃん、なんだか迷っているみたい。心が空っぽな気がする」
 別れ際に、佐藤さんが俺に言った言葉。確かに、俺の心は空っぽだ。あの人や長谷川さんの面影が浮かぶ。それなのに、佐藤さんと逢瀬を繰り返している。
「あっ、良い時に戻って来た。ひとり足らなかったんだ」
 木村が、麻雀を誘う。
「悪いけど、今はやる気分じゃないから、他の人を誘ってよ」
 俺はそのまま部屋へ行く。机に向かっても、本を開く気になれない。ベッドに横たわる。
「どないしたん? 彼女に振られて・・」
 坂本が部屋を覗いた。
「せやねん、だからほっといて!」
「金ちゃん、めちゃ怖いわ。ほな、はよ寝や」
「でけへんわ。あ~、おもろない」
 ベッドから起き上がり、食堂へ戻る。
「木村さん、仲間に入るよ」
「よっしゃ、カモがネギ背負ってきたぞ」
 だが、今日の俺は強かった。強気でやるから、負け知らず。
「いや、今日の金ちゃんはまともじゃない、参ったわ」
 木村だけでなく、大山も降参する。

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