ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅡⅩⅦ 

 確かに、俺は答えられない。自分の理不尽な振る舞いに、呆れる。
「夢を求めていた時期もあった。でも、君に出会い、夢を諦め君を選んだ」
「・・・」
「今でも、君を諦めたくない。ただ、入院中に考えが変わった」
「どうして?」
 長谷川さんの顔と手紙を思い出す。
「一言で言い表せない。でも、幸せの価値観が変わったと言える」
「幸せの価値観?」
「うん、価値観だ。人を恋して、愛を得る。これは生きるために、大切な力だと思う。だけど、愛を叶えるには、相方が必要だ。常に均衡を保ち、どちらかが裏切りや失望を意識したら、愛は崩壊する」
「・・・」
「だから、愛は、幸せと不幸を兼ね備えている」
 俺は話しながら、自分の惑乱に気付いていた。
「あなたは、私に失望を感じたの?」
「いや、それは有り得ない」
「それなのに、どうして私を拒否するの? 理解できない・・」
 真剣な眼差しに、俺は深いため息を吐いた。
「俺の裏切りだ。それも、とっても卑怯な裏切り行為だ」
「裏切り? 私に対して、何を裏切ったの?」
「・・・」
 考えるために、黙った。突如、あの人が目に涙を浮かべる。
「本当は、好きな人がいるのね。そうでしょう?」
 思わぬ言葉に、俺は驚く。
「いや、他に好きな人なんて、決していない。今でも、君を愛している」
 あの人は、顔を覆い肩を震わせる。俺の心が痛んだ。
「私だって、あなたを忘れられない。それなのに・・、なぜ?」

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