ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物が、世界大会に参加する。笑い、涙、ロマンス、親子の絆の物語。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。心意を確かめるために、行方不明の彼を探す。そして、ハワイ島へ。
 忘れ水 幾星霜  偶然の出会いが必然なのか、憧れは恋へ。恋は愛へ。山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。ひょんな出会いからの交流。そして・・。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズの第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 雨宿りに続く大河内晋介シリーズの第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 怪奇な夢を見続ける主人公。夢に現れる和服姿の美しい女性。それは不思議な縁から始まるものであった。
 ア・ブルー・ティアズ 入院中の父子が生死の別れ際に触れ合う姿。その様子見た主人公が、自らの父に対する情念を考える。また、夜間の救急病院で起きる生と死のドラマ。

   偽りの恋 ⅩⅡ 

 佐藤のショート・カットの髪を触る。
「佐藤さんの髪って、サラサラしているね」
「あ~、何よ。この感覚・・」
 佐藤は気持ち良さそうに、頭を反らす。俺は触り続けた。
「もう、ダメ・・」
 上気した顔に潤んだ瞳の彼女が、俺の顔を見詰める。俺は知らぬ顔で、アイス・コーヒーを飲んだ。
「もう、金ちゃんって、意地悪なんだから・・」
 その瞬間、佐藤が抱きついてきた。甘い香りが、俺の鼻をくすぐる。
「何が、意地悪なんだ?」
「狡い。知っているくせに・・」
 彼女が頭をもたげた。目の前に、ふくよかな唇が見える。
「ねえ、キスして・・」
「え、キス?」
 俺の脳は目まぐるしく回転した。恋した人に望めなかった、不条理な経験。
「・・・」
「・・・」
 二人の唇が重なった。俺の脳に、激しい電流が流れる。もう、見境がつかない二人の時間。
「金ちゃん・・」
 息が途切れ、二人の唇は離れた。
「・・・」
「・・・」
 俺の心に、快感と虚無感が混在する。ソファの背に凭れ、天を仰いだ。
「どうしたの、金ちゃん?」
「いや、なんでもないよ」
「なら、いいけど・・。私、まだドキドキしている。ふぅ~・・」
 佐藤は胸を押さえ、心を落ち着かせる仕草。
「もう、ここを出ようか?」
 何故か、ここから離れたくなった。妙な気持ちが、俺を急かすからだ。
「ええ、出ましょう・・」

×

非ログインユーザーとして返信する

あと 2000文字

※は必須項目です。