ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   偽りの恋 Ⅷ 

 俺は返事を保留にする。彼は納得せず、気分を損ねたようだ。
「約束、でけへんのかい。金ちゃんは、へたれやな~」
「えっ? 屁をたれた? 俺が、そんなことするかい!」
 坂本は、目を丸くして驚く。
「よう言うわ。ちゃうよ、へたれは根性無しの意味や・・」
 俺は意味が分かり、笑ってしまった。
「アハハ・・、大阪弁は分からん・・、ハハ・・」
「せやねん、めちゃ難しいやろ」
「坂本さん、頼むから標準語で話してよ」
「無茶や、でけへん」
 翌日も、目が合うとデートの話になる。
「佐藤さんも行くのかい?」
「ああ、せやから約束してや。ええやろ」
 特に予定も無いので、行くことにした。
「分かった。行くよ・・」
「ほんまか? ほな、連絡するわ」
 坂本は、その夜に相手の子に連絡をしたようだ。
 一週間が短く感じる。デートの前夜、坂本が意外な提案を打ち明ける。
 新宿駅に降りたら、ホームの混雑を利用して別行動する。坂本は、エレベーターで地下へ行くから、俺には上の階へ行ってくれと言う。彼が何を考えているのか、理解に苦しむ。
 当日の朝、佐藤たちと駅で待ち合わせた。
「金ちゃん、昨日のこと、ほな頼むわな」
「うん、了解・・」
 佐藤たちが、現れた。彼女の装いは、春らしい服装で似合っていた。俺の顔を見ると、挨拶代わりに軽く手を上げる。
「やあ、おはよう」
 俺は挨拶を交わし、佐藤に近づく。爽やかな香りが、俺の鼻をくすぐる。
「金ちゃんが、私たちを誘ったそうね」
「え、俺が?」
 坂本は、俺を利用したようだ。彼が目配せする。俺は諦めた。
「まあ、そんなもんかな。今日は、ありがとう」
「いいえ、いいのよ。どうせ、暇だったから。誘ってくれてありがとう」
 日曜日のためか、小田急線の車内は混んでいた。

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