ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   謂れ無き存在 ⅦⅩⅧ 

 テーブルの上は、瞬時に皿の山と化した。
 食後、男性三人はコーヒーを飲む。真美と明恵母さんは、デザートのフルーツ・パフェを食べている。
「ところで、オヤジさんは神学校へ通ったけど、どうして?」
 俺は、気になっていた。
「ああ、運命と宗教は非常に関連している。それを学びたくてね。運命や宿命は人間の力が及ばない。だから、多くの人間が本質を探究してきた。特に、古今東西の哲学者たちがそうだ」
 俺の軽い脳には、到底理解できない話だが、興味が湧いてきた。
「じゃ、宗教家は?」
「宗教も同じことが言えると思う。ただ、牧師や神父は神のお告げを伝道している人たちだ。哲学者じゃないよ」
「仏教は、神様でなく仏様だけど・・」
「うん、そうだね。お釈迦様は、やはり哲学の考えから、生死や幸不幸など人生の疑問を悟った人。お坊さんたちも、牧師や神父さんと同様に、経典の教えを広める役目だ」
「えっ、経典?」
「経典は、キリスト教では聖書。イスラム教ではコーラン。仏教では仏典や経文だよ」
 明恵母さんが、オヤジさんの話を聞き、俺に注意する。
「洸輝さん、真剣に聞かない方がいいわよ。適当に聞きなさいね」
「いえ、明恵母さん。俺は、真剣に聞きます。だって、運命の言葉で始まり、考えられない方向に進んでいる。例えば、真美とアメリカで結婚? オヤジさんの言葉が、俺の謂れを証明してくれた」
「確かに、そうね。自分の存在を否定していた洸輝さんが、真美を通じて存在意識に目覚めたものね」
 あのセミナーから、俺の空白な人生が輝き始めた。だから、運命とか宿命の言葉に、反応するようになった。
「明恵! 考えることは、洸輝君にとって大切だと思う」
「そうよ、お母さん。洸輝は、もっと勉強する必要があるわ」
 トーマス小父さんと親密に話していた真美が、突然に言葉を挟んだ。
「俺だって、勉強をしたかったさ。親も金もないから、進学できなかった。あ~ぁ、悔しいな・・」
「なに拗ねているの。学校だけが勉強ではないでしょう。人生勉強は、自分の力でやれるのよ!」
「・・・」
「そうだよ、洸輝君。私の部屋に、たくさんの図書がある。自由に読みなさい」

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