ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   謂れ無き存在 ⅤⅩⅥ 

「う~ん、そうだね。仕事は暇だし、行くことにするかな」
 嬉しそうに顔を綻ばせる明恵母さん。
「直ぐに旅行会社へ連絡して、日程を考えなければ。ねえ、真美・・」
「お母さんが一緒なのは、とても嬉しいけど・・。ちょっと残念な気がする」
 真美が拗ねる真似をする。
「何が残念なのさぁ?」
 意味が分からず、俺は彼女に聞いた。
「あれ、洸輝は分からないの? ふたりの熱い新婚旅行よ」
 俺は気付き、一瞬に体中が火照る。明恵母さんとオヤジさんは顔を見合わせた。
「あっ、そうよね。じゃ、今回はふたりだけで・・」
「そんなことないよ、一緒で構わない。ごめんなさい」
 真美は慌てて、謝る。
「そうですよ、一緒に行きましょう。真美のお母さんも喜ぶと思います」
「いいじゃぁないか。どうせ一緒でも、真美は平気に振る舞うはずだ」
 俺の言葉にオヤジさんが後押しをした。明恵母さんも納得する。
「それから、オヤジさん。家のことだけど、しばらくは箕郷から通います」
「うん、構わないよ。それで、通勤はどうする?」
「大丈夫よ、私もお店で手伝うから、一緒に通うわ」
 翌日からは、忙しい日が続く。初めに、市役所へ婚姻届を提出。俺の住所変更も済ませる。その足で、街中の旅行社に行き、旅行の手続きを行なう。
 ただ、問題が生じた。真美がアメリカ国籍のパスポートを所有。日本への再入国、その扱いをどうするか旅行社が頭を悩ませた。
 仕方なく、今回は時間が無いので、真美は婚姻前の状況で渡航手続きをした。俺と明恵母さんたちは早急にパスポートの取得手続きを行なう。
 やはり時間が掛かり、予定の来週には渡航できなかった。
 俺は、アパートから箕郷の家へ越した。今まで溜め込んだガラクタを処分。真美が片付けを手伝うも、俺が残しておきたい品物を簡単に始末する。
「おい、おい、それまで捨てるのか?」
「そうよ、欲しかったら新しく買えば・・。これ、昔の彼女の思い出かしら、随分大事に持っているようだけど・・」
「そ、そんな物じゃないよ。ただのお土産だ」
 俺の慌てる様子に、喜んでからかう。
「あら、本当? 怪しいな・・」
「それは、施設の事務員のお姉さんが、園を出るときに記念として寄越した」
 

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