ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   謂れ無き存在 ⅡⅩ 

 朝食を済ませ、早めに家を出た。今日の真美の運転は、昨日よりリッラクスしている。俺は落ち着いて座ることができた。講師の家まで、他愛ない会話をする。箕郷から下り、高崎市街地に戻る。国道17号に出て烏川沿いを走り、和田橋を渡って護国神社の近くにやって来た。
 説明通りに左折する。直ぐに探すことができた。一際目立つ『運命を考える会』の看板が、家の前に建てられていたからである。
「あっ、これだ、この家だ」
 真美は家の前の駐車スペースに車を停める。俺と真美は手を繋ぎ、玄関横のチャイムを押した。
「開いてますよ~、中に入って下さい」
 先生の声がチャイム・ボックスのスピーカーから聞こえた。俺が玄関戸を開け、真美を先に入れる。
「先生、おはようございま~す」
 俺は奥に聞こえるよう、大きな声で挨拶した。中から人の気配がして、直ぐに先生が顔を出す。
「やあ、良く来てくれました。おはよう・・。さあ、上がってください」
 俺と真美は目礼してから、スリッパに履き替える。奥の居間に通され、先生と向き合いソファに腰かけた。先生は顔を綻ばせ、俺たちふたりの顔を交互に見る。俺は緊張しているが、真美は意外にも穏やかに笑みを浮かべている。
「う~ん、やはりお似合いだ。間違いなく運命同士のふたりだ」
 そこへ、奥から上品な女性が現れ、テーブルの上に紅茶のカップを置いた。
「どうぞ、召し上がってね」
「まあ、ご馳走になります」
 真美は屈託ない笑顔で、カップを手にした。
「あっ、女房の明恵だ」
「明恵です、宜しくね」
 俺は背筋を伸ばし、挨拶をした。
「お邪魔します。横山洸輝と申します・・」
「存じていますよ。そちらは、真美、柘植真美さんね」
「はい、宜しくお願いします。でも、どうして私たちの名前を知っているの?」
 先生と奥さんは、顔を見合わせてから微笑んだ。
「うん、ふたりのことは、以前から知っているんだよ」
 俺だけでなく、真美も驚く。その様子に、奥さんは嬉しそうな顔を見せた。

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