ウイルソン金井

創作小説。ロマンス、怪奇、ユーモアなど。多岐チャレンジ中。

創作小説を紹介
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物が、世界大会に参加する。笑い、涙、ロマンス、親子の絆の物語。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。心意を確かめるために、行方不明の彼を探す。そして、ハワイ島へ。
 忘れ水 幾星霜  偶然の出会いが必然なのか、憧れは恋へ。恋は愛へ。山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。ひょんな出会いからの交流。そして・・。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズの第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 雨宿りに続く大河内晋介シリーズの第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 怪奇な夢を見続ける主人公。夢に現れる和服姿の美しい女性。それは不思議な縁から始まるものであった。
 ア・ブルー・ティアズ 入院中の父子が生死の別れ際に触れ合う姿。その様子見た主人公が、自らの父に対する情念を考える。また、夜間の救急病院で起きる生と死のドラマ。

  嫌われしもの 遥かな旅 ⅡⅩⅦ

 休憩時間が過ぎ、分科会が始まる。各グループがまとめる内容を、ワシは楽しみに待った。その様子を眺めていると、ミスター・ブリジョンソンとセニョール・ゴキペドロが通訳を伴って、ワシの所へやって来た。
「世界本部から、リーダー・ゴキータに特別顧問をお願いする。なにとぞ、就任を受けて頂きたい」
「え~、ワシが、ですか? ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。ワシが特別顧問にですか?」
「イェス、是非とも承知をお願いする。プリーズ!」
「セニョール・ゴキータ! お願い! 引き受けてください。私たちにとって、これからが大切な時代になると思われます。世界の仲間を教え導けるのは、あなたしかいません」
 マリアブリータの言葉に、ワシは身震いをした。
「しかし、ワシの夢は家族と静かな日々を暮らすことだ。人間どもの生活環境から離れ、気兼ねなく陽を浴び平凡に生きる。儚い望みかも知れないが・・。細やかな幸せを感じ、天命を全うしたいのだ」
「それは、誰もが望むこと。私も考えています。ですが、優れた知恵と洞察力を備えた仲間は、セニョール、あなたしかいません!」
「う~ん、弱った。ワシの命も、そう長くはないからな・・。ご期待に添うか、疑問だ」
「では、セニョールからクロピーカに指示を出し、彼が他の仲間と活動をする。どうかしら・・」
「・・! もしかしたら、可能かも・・」
「でしょう? 彼ならできると思うわ。そうしましょうよ」
 ワシは、渋々と特別顧問を受けることにした。ただ、黒ピカの対応力の可否を条件にする。帰国するまでに、ヤツの成長を期待するしかない。
 ワシが申し出を引き受けたので、三者は大いに喜びハグを交わした。もっとも力強く交わしたのは、マリアブリータであった。ワシは嬉しさと恥ずかしさで顔が火照る。
《愛しのゴキ江、許してくれ! 断じて浮気ではないからな・・》
 マリアブリータも顔を赤らめ、俯いたままだ。そこへ、タイミング良く黒ピカのグループが寄って来た。
「あれ、どうしたの? お互いに顔を赤らめて・・。なあ、ゴキジョージ」
「まさか、愛の告白・・?」
「な、な、なんと・・。言葉を慎め・・。お、大人をからかうな! セニョーラの名誉のために裁判所へ訴える。絶海の孤島へ流刑だ~!」
 ワシは焦り、狼狽える。
「いいえ、私はなんとも思わないわ。そのように見られて嬉しいもの。だって、私はセニョール・ゴキータが好きよ。愛しているかも知れないわ。変かしら?」
 その場の全員が、唖然として言葉を失う。一番驚いたのは、ワシだ。
「相手が誰であろうと、好きになる行為は大切なことよ。私たちは、人間から意味もなく嫌われている。それなら、せめて仲間同士だけは、好きという行為や感情を自然に持つべきでしょう」

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