ウイルソン金井

創作小説。ロマンス、怪奇、ユーモアなど。多岐チャレンジ中。

創作小説を紹介
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物が、世界大会に参加する。笑い、涙、ロマンス、親子の絆の物語。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。心意を確かめるために、行方不明の彼を探す。そして、ハワイ島へ。
 忘れ水 幾星霜  偶然の出会いが必然なのか、憧れは恋へ。恋は愛へ。山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。ひょんな出会いからの交流。そして・・。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズの第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 雨宿りに続く大河内晋介シリーズの第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 怪奇な夢を見続ける主人公。夢に現れる和服姿の美しい女性。それは不思議な縁から始まるものであった。
 ア・ブルー・ティアズ 入院中の父子が生死の別れ際に触れ合う姿。その様子見た主人公が、自らの父に対する情念を考える。また、夜間の救急病院で起きる生と死のドラマ。

  嫌われしもの 遥かな旅 ⅡⅩ

「リーダー、残念ですね。船内で話をした仲間もいたでしょうね」
《ほう、もう冷静になっておる。うふふ・・、少しは成長したと思ってもいいのかな》
「そうだな、残念だが仕方ない。これが、無常の風よ」
「それは、なんの風ですか?」
 ヤツは、次の疑問に心を惹かれ、目を輝かした。
「この世の命は、誕生と死滅の法則があり、それは永遠に変わらない。風が吹いて花を散らすように、無常の風がこの世に生きるもの、全ての命を奪い去る。そんな意味だよ」
「ふ~ん。そういうことか。花ね~ぇ、花も死ぬんだ」
「勿論、この地球上にはワシらだけでなく、人間や動植物など数知れない生き物が住んでいる」
「じゃあ、動くもの、だけではないのですね」
 ワシは話しながら、嫌な予感がしてきた。
「そうだ、目に見えないものもいる」
「え~、見えないもの?」
 やはり、キョロキョロと見まわす。
「キョロキョロするな! 透明ではない。余りにも小さく見えないことだ。ただ、人間どもの電子顕微鏡なら可能だ。例えば、ジカ熱のウイルスがそうだ」
《分かり易く説明したが、成長していないらしい。思ったワシが悪かった・・》
「とにかくだ。生まれたからには、必ず死を迎える。だからこそ、たった一度の命を大切にして、粗末な扱いをしてはいかん」
 本来ならば、この大会には、およそ八十ヵ国の仲間が参加する予定であった。ジカ熱のために、出席を断念したという。しかし、三十の国や地域代表が、二百匹ほど参加していた。
「本大会に、ご参加いただき感謝申し上げます。これより、大航海時代から受け継がれている世界大会を開催します」
 セニョール・ゴキペドロ大会委員長が、雑な木箱の壇上で開会宣言を行なった。
「ワ~ッ、いいぞ! われらの仲間、世界の仲間。バンザイ!」
「ワイワイ、ヒューヒュー、ガサガサ」
「世界本部の南アフリカ代表ミスター・ブリジョンソンを、ご紹介します」
 紹介されたブリジョンソンが、ゆっくりと壇上に上がる。
「我が友よ、我が仲間よ。良く無事に、ブラジルへ来られた。今回、多くの犠牲者を出してしまった。非常に残念なことです。皆さん、黙とうを捧げたいので、ご協力をお願いする。では、黙とう!」
 会場は静寂に包まれた。時折、すすり泣く声が聞こえる。ワシがゾクゾクと体を震わせた。すると、黒ピカがワシの心情を素早く察したようだ。
「リーダーもですか? オイラも辛い・・」
「そうだ、目の前で多くの仲間を失ったのは、初めての経験だからな。黒ピカよ、仲間のためにも、決して忘れてはいかん」

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