ウイルソン金井の創作小説

フィクション、ノンフィクション創作小説。主に短編。恋愛、オカルトなど

創作小説を紹介
 偽りの恋 愛を捨て、夢を選ぶが・・。
 謂れ無き存在 運命の人。出会いと確信。
 嫌われしもの 遥かな旅 99%の人間から嫌われる生き物。笑い、涙、ロマンス、親子の絆。
 漂泊の慕情 思いがけない別れの言葉。
 忘れ水 幾星霜  山野の忘れ水のように、密かに流れ着ける愛を求めて・・。
 青き残月(老少不定) ゆうあい教室の広汎性発達障害の浩ちゃん。 
 浸潤の香気 大河内晋介シリーズ第三弾。行きずりの女性。不思議な香りが漂う彼女は? 
 冥府の約束 大河内晋介シリーズ第二弾。日本海の砂浜で知り合った若き女性。初秋の一週間だけの命。
 雨宿り 大河内晋介シリーズ。夢に現れる和服姿の美しい女性。
 ア・ブルー・ティアズ(蒼き雫)夜間の救急病院、生と死のドラマ。

   謂れ無き存在 ⅦⅩⅨ 

「はい、読んでみます。それに、欲しいものは、自分で買います」
「なに言ってんの、洸輝にはお金が無いでしょう」
 真美が、意地悪そうに言う。でも、直ぐにウインクした。
「はい、はい、奥様。どうぞ、買ってください」
 俺は丁寧に頭を下げて、お願いする。真美が笑顔で頷いた。
「あっ、詩もいいかもしれないよ」
「えっ? 詩ですか・・」
 俺は学校の図書室で見たことがある。分かり易い詩もあれば、意味難解な詩もあった。
ただ、綺麗な言葉を並べただけの、詩もある。
「詩はね、言葉の絵画だよ。書かれた言葉をイメージする。人によって、ずいぶん解釈が異なるんだ。面白いと思うよ」
「詩って、歌手が甘く歌ったり、意味なく叫んでいる歌もあるけど・・」
「確かに、そうだね。でも、私が言う詩は、音楽に合わせた詩ではない。宗教や哲学に通じる詩集だ。探してごらん。例えば、ルバイヤートの四行詩とかを・・」
「え~、難しそう。無理だと思うな」
「もしかしたら、詩が洸輝君の存在を、導いてくれるかも」
「ほ、本当なの?」
「あなた、急がせないでね。ゆっくり読ましたらいいの・・」
「そうよ、洸輝の脳は軽くて、直ぐに壊れてしまうわ」
 真美の言葉に、俺は苦笑する。
「本当だから、仕方ないさ。重くなるよう、ご指導ください。愛する奥さま」
「はい、ご主人様。どれほど、詰め込めば重くなりますか?」
「まあ、ふふ・・、ふたりの会話は、いつ聞いても面白いわ。ウフフ・・」
 明恵母さんが笑い出したので、大笑いになった。ただ、トーマス小父さんだけが、意味が分からず不機嫌だった。
 真美が、説明すると大きな声で笑い出した。
「ワッハハ・・、ハハ・・」
 その場の全員が、再び笑い出す。
「うふふ・・、さあ、帰りましょうよ。ふふ・・」
 真美が笑いながら提案したので、ようやく帰り支度を始める。
 ショッピング・センターから公園に寄る。
「ここはね、日本庭園があるの。高崎市が姉妹都市の記念に、東屋や鳥居を建てたの」
「まあ、そうなの。早く見たいわ。さあ、行きましょう」

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