嫌われしもの 遥かな旅 フィナーレ
《最後まで読んでくれて、ありがとう。物語の続きは、自由に想像しても結構だ。ワシは無事にゴキ江の許に帰れた。
その後、小笠原諸島の父島へ移住し、愛する妻と楽しい日々を過ごしている。ただ、歩き回ることは困難だ。そして、ワシの息子黒ピカのことを、懐かしく思い出している。
えっ、息子が何をしているかって? ヤツは成田国際空港で別れ、そのままハワイへ旅立った。今ごろ、ワイキキの浜辺で昼寝でもしていると思う。
何? 父親であることを、打ち明けたか知りたい? しつこい人間だな。実は、ヤツは知っていた。黒ピカを育てた仲間が、それとなく伝えていたらしい。
成田国際空港に到着すると、突然にワシを抱きしめ、耳元に囁いた。
『オヤジ・・、ありがとう。オヤジから貰った命を大切にするよ。オイラの家族を忘れていなかったこと、感謝する。嬉しかった』
ワシはびっくりして、何も答えられなかった。ワシは体が動かせず、立ち去る後ろ姿を追うことも叶わなかった。
この物語を読んで、ワシらの気持ちを理解できたかな。わぉ~、無理だって? 好きになることは、決して無い? そう、分かりましたよ! 虫のいい話をするなって、言いたいのだろう。
それでは諸君、アディオース。永遠にサヨウナラだ。バイ・コン・デウス(神のご加護を)》